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「手をつないで」

今年一番に会ったもも組のSくんとRくんが幼稚園の階段におりました。みんなで鬼ごっこをした後で一休みしていたのです。
「Sくん、Rくん、あけましておめでとうございます」
と教師が挨拶すると、Sくんは
「僕は『あけましておめでとう』って言えないんだよ。パパのパパが亡くなってね」
と教えてくれました。そして
「本当はおでかけだったけどパパのパパが亡くなってでかけられなくってね、J子さんちに行くことになったの」
とSくんの、冬休みに起きた悲しい出来事や初めての経験をつぶさに話してくれました。Rくんも階段の手すりに寄りかかりながら神妙な面持ちで聞いています。年中児も後半になると、このような出来事を受けとめたり、その意味を理解したりし始めるのだなあと二人との語り合いから大きな育ちを感じました。また、丁寧に一つひとつの事象や理由、その意味を我が子に語られたであろうお母さんを思い浮かべました。家庭での経験は子どもにとって多くのものをもたらします。

「そうだったんだ。悲しかったね。私もお父さんとお母さんが亡くなった時、悲しかったよ」
と言うと
「あれ?先生、子どもなの?お母さんじゃなかったっけ?」
と二人の表情は少し明るく変わりました。
「そうねえ、私はお母さんだけど、子どもで―、孫でもあり―、不思議ね!」
と三人で笑いました。笑いながら『わたし』(谷川俊太郎ぶん・長新太え/福音館書店)を思い出しました。「わたし」はやまぐちみちこ、5さい。お兄ちゃんからみると「いもうと」。でも、犬からみると「にんげん」。「わたし」は一人なのに呼び方はいっぱい…「わたし」ってなんなんだ?哲学書でもあるような不思議な絵本です。

それからお話は「お母さん」のことに広がって・・・
「先生が子どもかあ。赤ちゃんの時もあった?赤ちゃんってね、こうやってお母さんのお腹の中で丸くなってるんだよ」
「そして、おへそに管があってね、それで生きてるんだよ」
とお腹の中の宇宙のことまでよく知っている二人でした。
教師「お母さんから、その管で栄養をもらって大きくなっていくんだね」
Sくん「そうだよ。生まれたらもう要らないの」
教師「それがおへそってことなんだね。じゃあ、おへそはお母さんがお腹で育ててくれた証拠ってことだね」
Sくん「そうそう」
最後にRくんが
「それからね、手をつなぐってことは“仲良し”ってことなんだよ」
と教えてくれました。
そうだね、大好きな人たちと手をつないで生きていきたいよね!
おじいちゃまの死から人の命や存在についてまで思いを巡らせ、子どもたちは深く考えているのですね。科学的知識をひもといていきながら、そしてお家の方に愛されている今を感じている子どもたちです。

絵本「わたし」画像