梅光学院

BAIKO VISION〜梅光の未来を創造する〜

MESSAGE for BAIKO VISION

本当の「教養」とは?

英語の辞書でLiberal Artsを引くと、「教養科目のこと。専門科目に対し、哲学・歴史・文学・自然科学・語学などの科目を指す」とあります。また、Liberal Arts educationは、「高等普通教育のこと。職業教育に対し、人格教育に重きを置く。」と説明されています。大学では、この説明通りに、教養科目が置かれ、必修の科目もたくさんあります。かつては科目が減らされたこともありましたが、現在では重要度が再確認され、内容も討論形式を取り入れるなど工夫がこらされています。「キリスト教信仰に基づく人格教育」を掲げる梅光学院では、聖書の学びを始めとして、さまざまなLiberal Artsが用意されています。

ただ、ここで、Liberal Artsとは、直訳すれば「自由な学問・芸術」となるのに、なぜ「教養」とか「人格」という言葉につながるのだろう、という疑問が生じます。

Liberalという言葉は、「気前のよい」とか、「豊かな」「寛大な」という意味をあわせ持つ言葉で、それが「偏見のない」という意味にまで派生する、プラスイメージの言葉です。このことを踏まえれば、Liberal Artsは、「本当に自由な人格を持つ人間になるための学問・芸術」ということになるでしょう。特にヨーロッパでは、図書館の入口に「真理はあなたを自由にする」という聖書の言葉が刻まれていることがありますが、その「自由」とは、人間が日々の生活の中でとらわれている世俗的価値や、自分を苦しめるさまざまな感情から解き放たれる、ということを意味しています。

この意味から言えば、「教養のある人」とは、クイズ番組に登場して優勝するような知識を膨大に持っている人のことではなく、多難な人生を最後まで生き抜いていくための力を与えてくれる「真理」を身につけた人、多難な人生を心豊かに生き抜くための「感性」をみがきつづける人、のことを指すのではないでしょうか。

すでに亡くなられましたが、かつて、私と共にアルス梅光の講座で宮沢賢治を学ばれた大坪冨美子さんは、次のような歌を詠まれました。

世に古りて曇りし眼鏡拭きくるる御手とぞ思う私の賢治

「この世に長く生きて世俗にまみれ、曇ってしまった私のメガネのレンズを拭き、透明にして世界の真実を見せてくれる人、それが賢治先生です。」と大坪さんは歌っています。大坪さんは宮沢賢治の学びを通して、確かにLiberal Artsを身につけ、教養ある人、になられたのです。

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By Shinji Nakano

学校法人 梅光学院

学事顧問

中野 新治