
学長の部屋
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「梅光で出会う『生涯のテーマ』」
自分らしく生きる、主体的な人間になる、世界にただ一つの自分を造り上げる......。
最近よく耳にする言葉です。それに合わせるように、個性的な名前を持つ子どもが増えているようにも思われます。世界に二つとない自分が実現できれば素晴らしいことですが、一方で、「自分さがし」にこだわるあまり、あれでもない、これでもないと、方向の定まらない混乱に陥る人もいるようです。
果して、そうまでして探し出したい「自分」とは一体何でしょうか。
答えは簡単にはみつかりません。もともと自己意識は両親をはじめとする他者によって作られるのですから、自己とは他者である、とも言えるからです。
大切なことは、ここで答えを出すことではないく、問いつづけること、問う姿勢を生涯にわたって持続することです。そして、そこにこそ大学が存在する意味があるのです。
大学が、学生たちに対して社会人、職業人として自立するための能力を養成する機関であることは言うまでもありません。現今の厳しい社会状況の中では、専門的な能力や技術を身につけることはとても大切です。しかし、現在の社会が要求するものを身につけるだけでは、社会の変革は望めません。
大学は何より、狭い自分の思考をこえ、何が真実なのかを問いつづける態度を身につける場であり、それによって「生涯のテーマ」を身につけた若者を世に送り出す場です。そのような若者たちによって初めて社会は変革されていくのです。
梅光学院大学には、小規模校ならではの、学生と教職員の温かく豊かなコミュニケーションがあります。共に、あなたの人生を築き上げる「生涯のテーマ」をさがしましょう。
No.2 新年のごあいさつ――「一枝の梅」―― 12/01/20
しかし考えてみれば、人類の歴史は形こそ違え、まぎれもなくこのような苦難の歴史であったし、その自覚は人々に深い心の覚醒をもたらして来ました。たとえば、「メメント・モリ」(死を覚えよ)という宗教的なメッセージが、今ほど日本の若い人々に深い意味をもって迫ってくることはなかったのではないでしょうか。深いゆっくりとした呼吸をもって、一歩ずつ大地を踏みしめて歩いていくこと。自己を自分だけの世界に置くのではなく、友人や家族の中へ、地域社会の中へと、意識的に運び出していくこと......。そのようなことを大切にして新しい春を迎えたいと思います。
私の敬愛する詩人・伊東静雄(1906~1953)の第3詩集は『春のいそぎ』ですが、その序文に次のような短歌が置かれています。
たが宿の春のいそぎか炭売りの重荷に添えし梅の一枝
早春の光景です。炭を一杯に積んだ重い荷車をひいていく人が通り過ぎていく。よく見るとその炭俵の上に梅の一枝が置いてある。きっと誰かに頼まれて「春のいそぎ(春の準備)」をするために持って行くのだろう......。寒い冬の中にあって春を迎える喜びを歌った、心に残る歌です。
私たちもまた、重い炭俵のような現実をひいて行かなければなりません。でも、私たちには花をめでるという、人間にしかできない喜びが与えられています。そして、その荷物が重ければ重いほど花の美しさは増すように思われます。
この一年、おひとりおひとりが、一輪の美しい花と伴に歩いて行かれますように。
No.1 子どもの時間 11/12/20
なぜこんな授業があるのか説明が必要かも知れませんが、実は余り深い意味はないのです。自然の好きな人がちょっぴり苛酷なフィールドに身を置いて、ふだんとは違う自分を発見して欲しい。そんな願いによって作られた授業です。
屋久島行きは今回で三度目ですが、これは京都大学霊長類研究所員だった田中俊明先生が本学に赴任して始まりました。田中先生は子ども学部所属ですが、サルやシカ等の野生動物の研究者であり、屋久島は馴れ親しんだ研究フィールドなので、この方が居るかぎり学生たちは安心して屋久島の自然を探訪できるというわけです。
それがどれほど楽しいものかは、この写真↓をご覧下さい。

これは、25日の午後屋久島でも最大級の滝、大川の滝に飛び込んだ学生たちの姿ですが、雨上がりで水はとても冷たく、学生たちの歓声には悲鳴も少なからず交っているのです。私たちは今、こんな表情を余りしなくなりました。本当は危険と面白さが一体となった自然の中での遊びは沢山ありましたが、今の若者たちはそういうことをほとんど経験していません。その意味では、この授業は「子どもの時間」を取り戻すためにあるのかも知れませんね。
次の日の雨の中の10時間にわたる縄文杉ツアーも苛酷でした(右写真)。65歳の身にはかなりこたえました。足の指の爪にできた血豆はまだとれません。でもそれは、楽しかった実習の記念として節分の日まで大切にしておきましょう。
次回エッセイは2月に掲載予定



























