
『古事記』を読もう(角川ソフィア文庫『新版 古事記 現代語訳付き』) 紹介者:岡田喜久男(10/06/03)
紹介者:岡田喜久男
古典の中でも最古、ということで『古事記』を敬遠している人が多いと思いますが、まず初めは現代語訳で読んでみてください。それもどこからでもかまいません。これが最古の本?と思い、別の箇所をよみたくなること受け合いです。もともと口誦伝承だったものですから、話を聞いているように読めるはずです。中でも上巻の神々の話の中には、どこかで一度読んだり聞いたりしたものがあり、もとの話はこうだったのかと納得することでしょう。中巻の「沙本毘古・沙本毘売の物語」は、ストーリーの面白さと、会話を織り込んだ文章表現の巧みさに驚き、歌謡を多数含む「倭建命(やまとたけるのみこと)の物語」は、強さと儚さを合わせ持つ古代英雄の生涯が共感を呼びます。
『古事記』中には、後世の文学の萌芽が散在し、現代語訳を読むだけでは満足できず、原文を読みたくなるにちがいありません。西暦721年に漢字だけで書かれた文章は驚嘆に値するし、元明天皇の命を受けて僅か4ヶ月ほどで書き上げた太安万侶とは、どんな人物だったのだろうと想像の翼は、はるか1300年の昔へ広がるでしょう。
時恰も平城京遷都1300年の催しが色々計画されています。『古事記』を片手に古都奈良を訪れる、現実と想像の豊かな交感を試してみるのは、文学享受の楽しみの極みでしょう。
































