
第六回「司書と司書教諭の話」 授業担当:湯浅直美先生(10/03/01)
図書館学課程主任 湯浅直美2010年は国民読書年。読書に関する仕事として、図書館の司書と学校図書館の司書教諭の仕事をそれぞれ紹介しましょう。
梅光学院大学では、
司書は、日本文学科、英語英文学科、東アジア言語文化学科の学生が取れる資格です。
司書教諭は、日文、英語英文、東ア文と子ども未来学科で、教員免許を取る勉強をしている学生が追加で取れる資格です。
あなたは本が好きですか? 本を読むのは好き? 好き、と答えた中には、「図書館とかで働くと、きっとたくさん本が読めるよねー、それっていいかもー」って思っている人がいるかもしれません。
じゃあ、図書館では本を「本」と呼ばないのを知っていますか? 専門用語で「図書」と呼びます。本棚も「書架」と呼ぶんですよ。
司書の仕事
司書は、主に公共図書館(県立、市立、町立など)に来る人たち(利用者と呼びます)が、ゆったりと図書が読めるように、様々な目に見えない仕事をして、読書環境を整えます。
目に見えない中でも特に専門的な仕事に、選書や目録作成があります。他にレファレンスや資料保存といった仕事もありますが、それはまた次の機会に。
選書は、利用者のために、図書館に置く図書や雑誌やその他の資料を選ぶことです。選ぶのはあなたが読みたい本ではなく、利用者が喜んでくれそうだとか、利用者の役に立ちそうだと判断した図書。あなたの好き嫌いで選んではいけません。
選んだ図書を入手したら、目録作業をします。目録は蔵書を知る手段ですが、ある図書と他の図書が同一なのか違うのかを明らかにする役目も持っています。これを同定識別と言います。
〈目録:記述ユニット方式でのカード記載例〉
参考:資料組織演習 / 吉田憲一編 ; 野口恒雄[ほか]共著. ― 東京 : 日本図書館協会, 2007. p.19― 270p ; 26cm. ― (JLA図書館情報学テキストシリーズⅡ / 塩見昇[ほか]編 ; 10). ― 共著者 : 山野美贊子,山中秀夫,吉田憲一,吉田暁史. ― ISBN978-4-8204-0624-2
目録は、①記述 + ②所在記号 + ③標目指示および標目で成り立っています。
①記述 に書く内容を、書誌的事項と呼びます。書誌的事項は8つの構成要素から成り立っていて、国際標準書誌記述に対応した日本目録規則に定められる順序で記述していきます。
②所在記号 は、日本十進分類法に基づく主題分類をして、分類記号を作成することから始まります。記号が出来たら配架に必要な図書記号を与えて、その図書が図書館のどの書架に並ぶかを決めます。主題を言葉で表現する件名分類をすることもあります。
③標目指示 は、その図書を目録で探すときの手がかりになる標目を与える作業です。タイトル、責任表示、内容注記、分類、件名などから標目を取ります。
そして、図書館の蔵書として登録し、ラベルを貼りバーコードを付け、装備を整えます。書架に配列して、利用者が読んでくれるのを待ちます。
よく見かけるカウンターでの貸出返却は、司書の仕事の一部に過ぎないことが分かったでしょうか。
司書教諭の仕事
小学校、中学校、高等学校のときに、学校図書館には先生がおられましたか?
小・中・高の教諭の免許を持つ人が、さらに学校図書館に関する科目を学んで資格を取ると、その先生は司書教諭と呼ばれます。
どんな仕事があるのでしょう。
「学校図書館法」では、学校の図書館には2つの役割があると定めています。
① 教育課程の展開に寄与すること。
② 児童生徒の健全な教養を育成すること。
その仕事の責任者が司書教諭です。
①教育課程の展開に寄与する とは、学校の勉強に図書館の資料を役立てる、ということです。図書館にある資料を使って調べて、知りたいことを知り、分からないことが分かるようになる児童生徒を育てることです。図書館を上手に使う力は、総合学習や調べ学習には欠かせません。その能力は、先生の的確な指導で育ちます。だから、図書館の専門知識を持った先生が必要なのです。そこで、司書教諭は、図書館の役割や働きを子どもたちに教えられるように、司書の仕事全般を学びます。
② 児童生徒の健全な教養の育成 には、豊かな読書体験が大切です。良い本を選ぶところから始めるのは司書と同じです。図書館だよりを図書委員と一緒に作る、読書感想文や感想画のコンクールをする、本を読み聞かせ、ブックトーク(本の紹介)やアニマシオン(本を読んでゲームをする)をするかもしれません。
司書教諭は学校全体での図書館指導計画を立て、指導案を作り、それに基づいて以上の2つの目的を果たすために仕事をします。さらに、自分の授業だけでなく、他の先生方が授業で図書館を利用する時のサポートをし、チームを組んで授業をすることもあります。学校図書館と学校の授業をつないで、勉強に必要な環境整備をする、とても重要な仕事ですね。
本を読みましょう
え? 学校の図書館にも公共図書館にも行かない? 本を読むのは嫌い?
あらまあ。
実は、高校生の50%が、1ヵ月に1冊の本も読んでいない、というデータがあります(全国SLAの学校読書調査による)。小学生では1ヵ月に1冊も読んでいない子は5%ということですから、高校生はほんとに本を読まない人が多いですね。
就学前から大学生までの間に、どれくらい幅広く本を読んだかは、その人のその後の一生に大きな影響を与えるそうです。最近では脳科学の立場から、読書は脳の前頭前野の発達に役立ち、それによってバランスの良い人格を育み、落ち着いた精神状態を保つのに有効だとも言われています。
「その人の本棚を見ると、その人がどんな人なのか、わかる」のだそうです。あなたが読んだ本が、あなたの履歴書になる。様々なジャンルの、いろいろな考えが書かれた本にたくさん出会って、あなたを育てる栄養にしてください。
国民読書年が、あなたにとっても読書年でありますように。
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