
第二回 あなたの声を探して~「感性トレーニング」のひとコマ~ 授業担当:村中李衣先生(09/12/11)
今年後期より始まった感性トレーニングの授業は、表現者をめざす学生たちひとりひとりが、自分の身体とことばの関係について、いろいろに感じ、考え、ことばと出会い直すことを繰り返しています。「感性トレーニング」のひとコマ
体育館で目隠しをして、「あ~」という声だけを頼りに、相手を探しだしていくという、ひどく簡単なゲーム。最初10組くらいのペアが、目隠しをして、体育館半分ほどのスペースの中に入ります。残りの学生たちは、目隠しをした学生たちが決められたスペースの外にはみ出してしまわないよう、ガード役をしながら、観察を試みます。
目隠しをしたとたん、足がすくんで、一歩も前へでることができない学生がいます。やたら動き回って、自分の声を撒き散らしていく学生がいます。自分はほとんど声を出さず、相手の声だけを集中して探していく学生もいます。
「ぜったいみつからんやろ」と開始前つぶやいていた学生たちですが、10分もすれば、ほとんどの学生が相手を探り当てます。目隠しをはずして、目の前にある相手の顔を確かめると、抱きつかんばかりの喜び。10分前はなんでもなかったのに、一旦目隠しをして探り当てた相手の存在はなんでこんなに嬉しいんだろう・・・
そして、自分たちのペアしかもう残っていないのに、そのことに気づかず、何度も相手とすれ違い、肩を掠めあい、また、離れ、どうしてもぴたりとめぐり合えない者たちがいる。あ~おしいっ!と見学者からついため息がもれる。まるで、恋みたい・・・
ワーク終了後、振り返りシートをそれぞれが書く。シートを読むと、身体をとおして生まれてきたことばは、頭の中でだけひねったことばよりも、はるかに弾力性があることに気づかされる。
「目を閉じて、相手を探しているとき、どうしても両手が前に出てしまうんだけど、その突き出した手の指先が、ひりひり世界を切り分けていく感じでした」
「体育館の中なのに、目を閉じて、求めてさまよっていると、天井がなくなって、とおくとおく空まで突き抜けてある感じがした」
「耳が澄んできて、風をかんじました。ちいさな風です」
感性トレーニングは、答えを教師から教えてもらう授業ではありません。自分の五感を最初から閉じてしまえば、なんの発見もありません。
無理せずゆっくりと、自分が拓かれていく感覚を、自分の表現の蔵へためていってほしいと願っています。





















