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ただいま留学中!(アイルランド編 最終回)(英語英文学科:10/06/19)

                      英米文学専攻 修士2年 末國 和子
 4月中旬に起きたアイスランドの火山爆発の影響で、懸念していました帰国遅延も、幸いにして、何の支障も来すことなく無事に日本に戻ることができました。
 家族や、スタッフの方々の「お帰りなさい!お疲れさまでした!」のねぎらいの言葉に、9ヵ月間の留学の緊張感と第1回目の交換留学生としての重圧から解放され、安堵しています。

 振り返ってみると、春学期を迎える前にクリスマス・お正月休暇を日本で過ごし心機一転したのが、後半戦を生き延びた(?)要因だったと思います。
 大学の授業の時間割上、予定していた帰国時期を繰り上げることもでき、先の見えるゴールを前にした時の踏ん張りは予想以上に効果をもたらすものだと実感しました。加えて、3月の上旬から段々と日が長くなり、春らしさも増してきて、心身共にうららかになっていきました。

 3月の最初の週に、春学期前半の授業がひとまず終わり、学生達はそれぞれ教育実習や、学年によってはセミナー学習に参加していきました。私は先生からの勧めもあり Creative Project に参加しました。これは1年生に向けて行われるプロジェクトで、それぞれの生徒が9-10のグループに分かれ、何か文学に関わる短編・劇・詩などを創作し、そのなかにメッセージ性やインパクトのある一文を盛り込み、作品 を披露するというものでした。
 
 それならば、ということで、万が一に備えて広島を紹介するものをと思い持参していた、佐々木貞子さんの「折り鶴」の話にしました。

 これは中学・高校の教科書にも用いられていますし、世界で唯一の被爆国である日本からのメッセージも伝えられるのではないかと思ったからです。被爆後、白血病と闘いながら、病気の回復を信じ、1000羽の折り鶴を完成することなく亡くなった貞子さんの話は、若い学生や先生方にも印象強く受け止めていただきました。
 貞子さんの話の後、少し大きめの紙で折り鶴の手順を披露し、参加者全員でそれぞれ折り鶴を作りました。中にはその複雑さに諦めてしまう学生もいましたが...。

 また同じ3月には、アイルランド中の最大イヴェント St. Patrick's Day があり、そのパレードを見るのにいい場所を確保するため、2時間前から並びました。併せて4時間の立ちっぱなしの見物は体力のいるものでしたが、趣向をこらした内容が盛りだくさんで、観光客とともに十分楽しめるものでした。
 パレードの後のパブはどこも人で一杯で、アルコールに浸った宴の翌日の人々の合言葉は、"Could you survive?" でした。

 それと平行しながら、3-4月はまた課題のエッセイ に取り組まねばなりませんでした。どの作家を取り上げ、何をトピックにしようかと考えあぐね、自分の興味の延長線にあるものが一番だと思い、W.B.Yeats と Lafcadio Hearn の比較にしました。
 テーマの幅がとても広くまとめきれないとも思ったのですが、二人のNationalism に関わるものを、歴史や随筆などからアプローチしていきました。
 折りしも、アイルランド国立図書館では2年にわたり Yeats展が開催されていました。2度3度と脚を運び、そこで直に目や耳で触れる詩の内容に触発されました。Yeats 本人や現代詩人、シェイマス.ヒーニーによる詩の朗読は実際に訪れてこその賜物だったといえます。

 時々のバスツアーで訪れたYeatsの眠るドラムクリフのお墓や、イースター蜂起の責任を負わされた若き志士たちが眠る墓地、そして最後には、大学から20分歩いた所にある墓地でウォーキングツアーが行われていると聞きつけ行ってみると、そこにはYeatsが終生愛してやまなかった美女、モード・ゴーンやアイルランドの英雄マイケル.コリンズなどが眠っていました。
 今回の留学の最後をお墓参りで締めくくるとは予想だにしていませんでしたが、文学を通して歴史も学び、それを興味づけてくれた歴史上の人物に 感謝しなければなりません。

 そしてもう一人、忘れてはならないのがLafcadio Hearnです。帰国間際の週末にHearnの足跡を巡るドライブ旅行に出かけました。
 Hearnの先祖が主教区の執事を務めていたというロック・オブ・キャッシェルや、Hearnが幼少の頃避暑に連れられていったというトラモアやダンモア・イーストは、かやぶき屋根の家が並ぶ小さな漁村でもあり風光明媚な場所で、この辺りでいろいろな不思議な話を聞かされ想像力をたくましくさせていったのでしょう。
 このドライブ旅行は、今回のSt. Patrick's Collegeと梅光の交換留学プログラムの立役者、藤田さん(The Japanese Culture Club代表)が同行してくださいましたが、二人にとっても思い出に残るものとなりました。本当に何かと親身になって相談にのってくださった藤田さんにお礼申し上げます。

 思いがけない9ヵ月にわたる留学生活でしたが、無事に学業を終え、帰国できましたことに感謝の気持ちでいっぱいです。
 今回の私の役割は自分で模索しながらその種播きをしてきたにすぎませんが、今後それぞれの留学生が、自分の視点と目的をもって学習すればきっと実を結ぶものがあるはずですし、将来的に大きな幹に育つことを期待しています。今後も両大学の人的交換を通じて文化・文学交流が発展していくことを願ってやみません。

●アイルランド・アメリカ留学レポート「ただいま留学中!」についてはこちらをどうぞ


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