~土の中で育まれるもの~

「先生、悲しいことがあったの、ちょっと来て!セミのお母さんが死んでた。お墓を作ってあげてたの。」とNちゃん。行ってみると、砂で作った丸いケーキの上に木の枝のろうそくを立てたセミのお墓を、子どもたちが取り囲んでいました。「セミのお母さんはね、赤ちゃんを産んですぐ死ぬんだよ」とYくん。すると、「赤ちゃんが生まれたのにお母さんが死んで、赤ちゃんはひとりぼっちでさびしいって泣いてるよ。だから赤ちゃんは、土の中に一人で寝てるんだよ」とMちゃんはそう言いながら涙ぐんでいました。繁殖の役目を終えたセミは、成虫として1ヶ月余りの命を終えます。しかし、幼虫としてはMちゃんの言うように1~5年もの間、ひとりぼっちで土の中でじっと大きくなるのを耐えるそうです。目に見えるセミの姿よりもはるかに長い期間、目には見えない土の中で幼虫として生き抜いているのです。
「センスオブワンダー」の著者レイチェル・カーソンは、「情緒や豊かな感性は、種を育む肥沃な土」と記しています。運動会を前に、体が「動く」ため、目には見えない子どもたちの心は豊かに耕されているところです。

私たち大人は、小さないのちを愛で包み、祈り、“土”に徹していくことではないでしょうか?images