(店 名) 八十八庵(やそばあん)
(道 案 内) 高松琴平電気鉄道・長尾駅より車で約20分 or 大川バス引田線「JR高松駅」で乗車、「大川バス本社前」でコミュニティバスに乗り換え、「大窪寺」下車すぐ。
(連 絡 先) 香川県さぬき市多和兼割93−1/TEL 0879−56−2160 FAX 0879−56−2163
(定 休 日) 年中無休
(営業時間) 8:00〜17:00 |
東讃に美味いうどん屋は数々あるが、中でも推したいのはここ「八十八庵」。当店は、弘法大師の足跡を基にした四国八十八ヶ所の結願所である大窪寺に近く、道すがら、お遍路姿の人々を幾度となく見かける。屈強な体格の青年。必死の面持ちで、しかし着実に歩みを進める、線の細い学生風の男の子。彼らにエールを送りながら、こちらは自動車で楽々と山道を登り、店に到着する。
腰を落ち着けると早速、店の人気メニュー「打ち込みうどん」(一人前750円)を頂く。打ち込みうどんとは、田植えや稲刈り後に、家にある野菜を利用して食されてきた当地の郷土料理だ。昆布とカツオの風味豊かな出汁は優しい味噌味、ぴりりと効いた柚子山椒がアクセントを添える。つやつやモチモチの麺には味がよくしみており、なお且つ讃岐うどんの命であるコシをしっかり保っている。うどんの下からは、じっくり煮込んだ大根・にんじん・里芋・ごぼう・豆腐、豚肉に油揚げといった具がごろごろ出てきて、ほくほくと美味い。うどんは喉越し良くつるつる入り、野菜の旨味が加わった出汁は思わず飲み干してしまう。秋も深まる中、山道で冷えていた体にじわりとしみ込む一品だ。 香川産の小麦粉を100%使用した麺・無農薬野菜・自家製味噌など、材料を厳選する店長・井川さんの一番のこだわりは、大窪寺の裏山に湧く水。水道水より温度が低い地下水は麺のしまりを良くし、麺ゆで・出汁取りとあらゆる場面で活躍する。伝統的な作り方に改良を加え、うどん投入のタイミングを変えることでコシを保つ工夫がなされている。店頭で販売している手作りのコンニャクも、噛みしめるほどにしみじみ旨く、お土産に最適。
八十八庵の真向かいでは、大窪寺が優しい佇まいを見せている。早くから女性の入山を許したため「女人高野」の名を冠し、暖かな包容力と因習に捉われない強さを併せ持つ。弘法大師ゆかりの地で、庵のうどんに舌鼓を打ちながら、「うどんは空海が唐から伝えた」という伝説と遊ぶのも一興だ。
三浦誉史加 (イギリス文学) |